遺言書と遺留分について
遺言書を作成する大きなメリットとして、
「遺産の分け方を決めておくことで、相続をめぐる争いを防ぐことができる」
というものがあげられるかと思います。
しかし、ここで知っておきたいのが「遺留分」という権利です。
遺留分とは相続人に最低限保証されている権利で、
例えば「全財産をAさん(相続人以外)に遺贈する」という遺言書を作成したとしても、
遺留分がある相続人は「遺留分侵害額の請求」を行うことができます。
◆ 遺留分の割合 ◆ ※兄弟姉妹には遺留分はありません。
・配偶者のみ:2分の1
・子のみ:2分の1
・父母のみ:3分の1
・配偶者と子:配偶者4分の1、子4分の1
・配偶者と父母:配偶者3分の1、父母6分の1
遺留分に反する遺言書も有効ですが、せっかく争いが起こらないように遺言書を作成されるなら、
遺留分についても配慮した遺言書作成がお勧めです。
例えば、遺留分の権利がある相続人には遺留分に相当する財産を相続させておく、
または遺言書の最後に、一部の人に多く遺産を残す理由を記載しておく、
などが考えられます。
なお、遺留分を請求できる相続人がいたとしても、請求されないことはよくみられます。
遺言書の内容に納得している場合は請求されませんし、
多少不満があったとしても遺留分侵害額請求は手間もかかるため、
そこまではしないという方も多いのではないでしょうか。
・・・以下、少し難しくなりますが、興味がおありの方は参考にされてください・・・
*遺留分侵害額請求権の時効
遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。(民法1048条)
*遺留分計算の基礎となる財産の額
=(相続時における被相続人の積極財産の額) + (相続人に対する生前贈与の額(原則10年以内)) + (第三者に対する生前贈与の額(原則1年以内)) ー (被相続人の債務の額)
*遺留分侵害額
= (遺留分) ー (遺留分権利者の特別受益の額) ー (遺留分権利者が相続によって得た積極財産の額) + (遺留分権利者が相続によって負担する債務の額)